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「SOHO」事業主として評価を/私の視線(オピニオン記事) 的野優貴子 西日本新聞 文化面 02.08.30
二十一世紀の新しい働き方として認知されつつあるSOHO(スモール・オフィス・ホーム・オフィス)。
しかし、残念なことがある。それは、在宅でパソコンを使って何らかの収入を得ている就業形態がひとくくりにSOHOと呼ばれ、議論されることだ。その際のSOHOには、実は「在宅ワーカー」という別の層が含まれている。
SOHOというのは本来、個人事業主であり、規模は小さくても一起業家として位置づけされる。正確にはSOHO事業者と呼ぶべき存在だ。一方の在宅ワーカーは、被雇用者と同じような意識で働き、営業活動などは行わない場合が多い。にもかかわらず「在宅」「パソコン」という共通項だけで同一視されることは、お互いにとって不幸なことである。
昨年、私たちNPO法人「あまらんすねっと」は、大分大学の松岡輝美助教授と共同で、九州・沖縄のSOHO実態調査・研究を行い、さらに独自で当事者のヒアリング調査などを行った。その結果、さまざまな実態が浮かび上がってきた。
例えば仕事の獲得方法。SOHO事業者は、クライアント(顧客)企業から直接受注したり、SOHO仲間のネットワークで受注する場合が多かった。一方、在宅ワーカーは、エージェントと呼ばれる仲介業者から、仕事を請け負っているケースが目立った。また支援に関する要望は、SOHO事業者が個人事業者を対象とした福利厚生などの社会保障的な支援を望んでいるのに対し、在宅ワーカーは、受注支援を望んでいるという結果が出た。
異なる二つの就業形態が混合されたまま「SOHO」という言葉が一人歩きを始め、さまざまなメディアが幻想をあおったのがSOHOブームだったような気がする。
家計補助のため、当初からほどほどの収入を目的にしている人はもちろんそれでいい。しかし、在宅で起業を目指しながら、「誰かが仕事をくれる」という矛盾した考えを抱いたまま、挫折した人がどれほど多いか…。
「当人の考えが甘い」と突き放すこともできるだろうが、私は一部のクライアントやエージェントが二つの就業形態の違いを認識していないことにも問題の根があると思う。SOHO事業者やそのネットワークは、基本的に「一つの企業体」だ。設備の維持・運営費、マネジメント、営業までさまざまなコストがかかる。「安い労働力」として使おうとする企業は少なくない。
SOHO事業者を、専門性や実力で評価して、パートナーシップを築くような企業社会にならなければ、SOHOという就業スタイルは言葉ほどには定着しない。
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